猫稲荷神社:福島県川俣町 日本

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神様は気まぐれだ。祈ったところで答えてくれやしない。それどころか、何かをしでかしたときはもちろん、何もしてなくても罰だか祟りだかを容赦なく与えに来る。そういう意味では、呼んでも来やしないし、意味なく激しいケリケリをしてくる猫もそんなに違いはない。

「神と猫とをを同列に扱うなんて、この不敬モノが」とお怒りをいただきそうだが、じっさい、猫を神様とする文化圏はある。古代エジプトが有名だが、八百万の神様がおわす日本も例外ではない。そのひとつがここ、福島県川俣町にある猫稲荷神社。

稲荷といえば狐。でもここでは、猫が祭られている。なぜ猫なのか?古代エジプトでは、猫はパテスト神の化身として崇められた。ならば猫稲荷神社では、狐の化身として猫が崇められたのか?残念。そうではない。猫はあくまで猫として祭られた。なぜなら、猫そのものが守り神だったから。何の守り神か?桑をモシャモシャ食べてやがて糸をはき繭をつくるアイツ、蚕だ。

鳥居を抜けると、片側は山、もう片側は梅林の小道。私道っぽいので遠慮しながら通る

そうはいっても、猫が蚕を育てるわけでは当然ない。蚕の敵は、そう、例によって鼠。猫はネズミの害から蚕を守ってくれるものとして信仰された。だが実際のところ、カミサマはともかく本物の猫は、ネズミよけにはなったかもしれないが蚕をおもちゃにしてしまうこともあって、守り神としてはあまり機能しなかったとか。

猫稲荷神社のお社の中には、猫を描いた絵馬が今日もある。イマドキの神社で見られるような印刷され画一化されたものではなく、偉大なシロートが描いたような絵。参拝者が神社の石やお面等をお借りして、願いが叶ったら倍にして返すという風習はあちこちにあるが、かつてここでは、猫の絵馬に対して同じことが行われたらしい。今日では絵馬の貸し出しはしていないだろうが、絵馬そのものはわりと最近に描かれたようなものもある。

筆者の撮影技術の問題ではない

ここは福島県。3.11の影響はいまだ残る。社殿は傾いて、つっかえ棒で支えられていた。自分の、というか日本のギリギリの姿を投影してしまいますな。

Access

猫稲荷神社
公共交通機関でのアクセスは困難。福島駅から出ている福島交通のバスに揺られて約40分、バス停「絹の里シルクピア前」で下車。そこから猫稲荷神社までは距離にしておよそ4km。山なので、よほど鍛えた人でない限り、平地のように時速5kmで歩くのはキビシイ。道じたいは複雑ではないので、曲がるところさえ押さえておけばまず迷わない。自動車や2輪で行く場合、福島市から国道114号線にのって浪江方面へ。道の駅かわまたで114号を降りて山の中にはいる。地元の人が支えている小さなお社なので、駐車場はない。要配慮。

Nearby

道の駅かわまた
地元の物産が販売されているので覗いてみるもよし。入場無料のおりもの展示館が併設されている。

相馬、浪江
川俣は阿武隈山系における交通のかなめのひとつ。国道114号から456号に乗ると浪江に、349号を経由して115号に乗ると相馬にも行ける。

UFOふれあい館

建物後ろに見える山が千貫森

’20に米国が正式に認めたUFO。ここはそんな流行りに乗ったわけではなく、30年近く前に開設されたスジガネ入り。なんでも千貫森では、UFOがよく目撃されるからだとか。国際未確認飛行物体研究所も置かれています。

眺めはなかなか爽快

興味がある人は資料をじっくり見るもよし、興味がない人は、千貫森でハイキングするもよし。UFO道は、親子で楽しく登れる程度にほどよく整備されています。

宇宙人が道案内してくれます

Reference

  • 「蚕 絹糸を吐く虫と日本人」畑中章宏 著 晶文社出版

First posted date : 7 July,2023

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