踊場 : 神奈川県横浜市泉区 日本

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戸塚から市営地下鉄で一駅。神奈川県は横浜市泉区のその駅名は「踊場」。改札を出ると、駅構内の壁には、地名の由来を示すこんなポスターが貼られている。

むかし、戸塚宿の水本屋という醤油屋にむすめねこのトラがいました。水本屋では、毎晩手ぬぐいが一本ずつなくなるという不思議なことがおこっていました。そこで主人は、ある晩、手ぬぐいに紐をつけて、その先を自分の手に結んで寝ました。主人の手が引っ張られて目を覚ますと、トラが手ぬぐいをくわえて逃げようとしていました。「なーんだ。トラのいたずらか。」この話はそれっきりになりました。
ところが、ある月夜に、主人が村のはずれを通りかかると、丘からにぎやかな歌が聞こえてきました。主人が木陰から除くと、猫たちが手ぬぐいをかぶって踊っていました。猫たちは踊りながら、「今夜は水本屋のトラがいないぞ。」、「トラがいないと、調子が合わねえ。」と話しています。そこへ、トラがやってきて、「遅れてごめんなさい。今日は家で熱いオジヤを食べさせられて、舌をやけどしちゃったのよ。」と仲間に舌をみせました。
「大丈夫、このくらいなら心配ない。さ、踊るべ、踊るべ。」とトラを囲んで踊り始めました。びっくりした主人は家に帰ってからかみさんに聞いたところ、やはりトラに熱いオジヤを食べさせたとのことでした。
主人は猫の踊りのことを、かみさんに話しました。手ぬぐいはトラたちが踊りのために使っていたのでした。それから、かみさんは、毎晩、トラたちのところへ新しい手ぬぐいを置いてやり、汚れると洗ってやりました。
村人たちはその話を聞いて、その丘を「踊場」と、呼ぶようになりました。 
『神奈川昔話集』より

昔、ここは、猫が踊った場所だった。だから「踊場」という地名になったという。直球すぎやしませんかという気にもなるが、ともかくそんな伝承にあやかって、駅構内には猫関連の意匠が多い。

天井に猫。踊場駅の意匠では、これが一番有名か。場所は4番出口付近。

駅のホームに降りるエスカレーターの上から監視もされる。

床も油断ならない。上る↑降りる↓も、単なる矢印ではない凝りよう。

これらはほんの一部で、ほかにもまだまだある。さらに、踊場駅限定の切符も販売。関東の駅百選に選ばれているだけあって、気合の入り方が違う。

駅員さんに頼めばマップをもらえるらしいので、カンペ片手に探すもよし。純粋に探す楽しみを満喫してもよし。普段は何気なく使っている駅だけど、実用性以外のところで楽しむのもまた良いのではなかろうか。

Access

横浜市営地下鉄ブルーライン 踊場駅(B05)
戸塚駅で横浜市営地下鉄ブルーラインに乗り換え、湘南台行にのって一駅。横浜駅から横浜市営地下鉄ブルーラインに乗ってもいけるが、遠回りになる。乗り鉄でもなければ、戸塚駅でブルーラインに乗り換えるほうが早い。

Nearby

供養塔
踊場駅から徒歩2分。駅2番出口のすぐ隣だが、ここは駅の地下駐輪場から出入りするところらしい。1番出口を出てすぐに踊場交番前という交差点があるが、このはす向かいにある。

戸塚
東海道53次では、日本橋から5番目の宿。朝江戸を発った旅人が、その日の宿をとるのにほどよいところだったとか。

本陣跡 この手の史跡も失われてきている

横浜市は歴史マップを用意したりして、歴史を残そうとしている。しかし、人口377万人と、同じく政令指定都市大阪市の人口275万人を抑えてぶっちぎりの一位である横浜市のなかにあって、市街地化が進み、かつての面影はほとんどない。

戸塚駅前から


Reference

  • https://www.city.yokohama.lg.jp/totsuka/shokai/gaiyo/kyutokaido.html

First posted date : May 14,2023

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