木尻

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Photo by (c)Tomo.Yun

囲炉裏の下座のこと。通常は土間に最も近い場所が下座とされている。

今は昔。よく知られているので今さら書くまでもないが、囲炉裏は、暖房兼明かり兼調理場として活用されてきた。さらにいうと、囲炉裏から上がる煙が茅葺屋根を燻し、耐久性をあげるとともに、上にかけた火棚で魚やたくあんを燻製にしたり、濡れた雪靴や着物を乾かしたりと、まさに 八面六臂と言うにふさわしい活躍だ。

家族は囲炉裏の周りに集まったから、家族内の序列により座る場所が決まっていたと聞いても、驚くにはあたらない。序列、ということは、上座と下座とがある。この下座。呼び方はいろいろあるが、メジャーなのは「木尻」(きじり)だろう。でも、猫を使った呼び方もちらほらある。

猫座滋賀県、島根県、福岡県、佐賀県の一部
猫の座敷長崎県
猫の横座青森県、熊本県の一部
猫ん番熊本県の一部
「日本民家語彙集解」日本建築学会/民家語彙集録部会 編 から

ここから見えることは、家庭内序列の中での猫の位置づけ。それから、暖かいところには人も集まるが、猫も集まるということ。

燃料が貴重だったころ、数少ない熱源に人々は集まった。生活環境の変化で囲炉裏が無くなったあとは、こたつがその役割を担った。継続調査ではないので一概にはいえないが、いまはそのこたつも、数を減らしてきているようだ。

この先、暖かさを求めて、猫はどこに行くのだろうか。

あったかければどこでもいいんだけどね Source:ぱくたそ


Reference

  • 「日本民家語彙集解」日本建築学会/民家語彙集録部会 編
  • https://weathernews.jp/s/topics/201812/060055/
  • https://cir.nii.ac.jp/crid/1542824520183249408

First posted date : January 9,2023

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